椎葉中の修学旅行

宮崎県の中学校の修学旅行は、11月・12月に実施される学校が多く、行き先は関西地方が主流ですが、東京や沖縄を選ぶ学校もあります。今年は、大阪万博に行ったという学校もあるのではないでしょうか。本校は、11月末に大阪と京都を訪れました。今年は例年よりも中国人観光客の数が少ないように感じました。

本校の修学旅行は、他校とは少し異なる特徴がありますので、ここで紹介します。まず、2年生は12名という少人数のため、熊本空港までは椎葉村のマイクロバスで移動します。伊丹空港に到着してからの移動は、貸し切りバスではなく、全て公共交通機関を利用します。バスや電車を乗り継ぎ、各地の観光地へ向かいます。また、多くの学校が京都市内での終日自主研修を実施するのに対し、本校では午前中に椎葉村のPR活動を行い、午後から自主研修という行程です。もちろん、お楽しみのUSJには最終日に行きますが、このPR活動こそが、修学旅行のメインテーマと言っても過言ではありません。

PR活動では、「椎葉村をPRし、観光客を増やす」という目的のもと、例年、生徒が作成した村の名所を紹介するガイドブックと、村の特産品である椎茸を無料で配布します。しかし、ガイドブックや椎茸をもらうだけで「椎葉村に行きたい!」と思わせるのは難しいと感じていました。そこで今年は、椎茸に加え、高級で大変おいしい椎葉村の特産品である蜂蜜とお茶をプラスして配布することにしました。これらは、製造している会社に事情を説明し、無償提供していただいたもので、大変ありがたかったです。さらに、パンフレットにはこれらの特産品が購入できるページのQRコードを加え、「観光客を増やす」だけでなく、「特産品を買ってもらう」という新たな視点を組み込みました。生徒たちの努力の結果、1時間で約150人の方に配付でき、現地の方々や外国人観光客にもしっかりとPRできたと感じています。

大規模校の修学旅行の話を聞くと、奈良で大仏や鹿を見て、自主研修し、USJへ行くなど、ほぼ観光のみの行程のところも見受けられます。物価高騰などの影響で仕方のない部分もあるのかもしれませんが、最も重要なのは「修学旅行で何を学ぶのか」です。わざわざ費用をかけて行くにもかかわらず、学びがなければ意味がありません。本校が実施した修学旅行は、公共交通機関の利用の仕方、村の活性化に向けたPR活動という「実践的な学び」を重視した行程でした。特に、PR活動は生徒たちにとって、体験的に学ぶ貴重な機会となりました。修学旅行の形態は変わりつつありますが、費用をかけて実施するからこそ、「観光」以上に「何を学ぶか」という目的意識をもつことこそが、最も重要であると考えます。

この「何を学ぶのか」は、日頃の授業や部活動でも同じことが言えるのではないでしょうか。今年の県全体の練習会も終わりました。何を学んだのか、来年に向けてどう動くのか。じっくり考えて目的意識をもって練習をしたいですね。【椎葉中:溝口】

Posted by mzc