椎葉中学校では30年前から、椎葉村教育委員会の主催による「アジア友好の翼事業」として海外派遣を行っています。これは、高校進学を機に椎葉村を離れる中学3年生に対し、村内では得られない貴重な経験を提供することを目指したものです。以前はオーストラリアやシンガポールへ派遣していましたが、4年前からは派遣先を台湾に変更しました。さらに昨年度には、台湾の台中市立大墩(だいとん)国民中学と姉妹校協定を締結し、相互交流を進めていくことが決まりました。

今年度は7月2日・3日の2日間にわたり、大墩国民中学の生徒たちが椎葉中学校を訪れ、交流会が実現しました。生徒数1000人を超える大規模校の大墩国民中学と、生徒数53人の椎葉中学校とでは学校の規模が大きく異なりますが、台湾の皆さんは非常に親日的で、日本に対して好印象を持ってくれているようでした。4月から少しずつ準備を進めてきたものの、言葉が通じない中でどのようにコミュニケーションを図るかが大きな課題でした。

初日の午前中は椎葉中学校で歓迎セレモニーを行い、アイスブレイクゲームや夏祭り体験を楽しみました。学校長や生徒会長の挨拶など、一文ごとに通訳を挟むため通常の2倍の時間がかかります。夏祭り体験では、射的やうまい棒釣り、輪投げなど6つの屋台を準備し、日本の伝統的な夏祭りの雰囲気を味わってもらいました。椎葉中の生徒たちには翻訳機(ポケトーク)を持たせ、積極的に会話ができるよう工夫しました。

午後は混合グループに分かれ、魚つかみ体験やニュースポーツを行いました。大墩国民中学の生徒たちにとって魚つかみは初めての経験だったようで、とても喜ぶ姿が印象的でした。夕食時には椎葉の神楽などを披露し、カレーやバーベキューを囲みながらさらに交流を深めました。

2日目の朝は寮で一緒に朝食をとり、登校後は体育館で自由に交流しました。あらかじめ用意された体験やゲームの時間よりも、この自由時間の方が生徒たちの交流が活発になっており、こうした「余白の時間」の必要性を改めて実感させられました。
この2日間を通して、生徒たちの企画・運営力やコミュニケーション能力は大きく向上しました。ジェスチャーや片言の中国語・英語を交えながら、何とか思いを伝えようと挑戦する姿、そして意思が通じ合った瞬間の嬉しそうな表情の一つひとつに、生徒たちの成長を感じました。どんな事にも言えることですが、やはり「主体的に動く」ことでこそ、本物の達成感や充実感が得られるのだと思います。

次は8月に、こちらから台湾を訪問する番です。現地でもまた、積極的な交流が生まれることを期待しています。【椎葉中:溝口】