あなたにとって走幅跳とは?

ご縁に恵まれ、この度、久しぶりに県外の選手に指導する機会をいただきました。熱心な先生方との再会や、目を輝かせて練習に取り組む選手の皆さんに触れ、多くの刺激をいただいて長崎に帰ることができました。心から感謝しています。

さて、何事にも言えることですが、自分の課題を正しく捉えるには、目指す技能の基本構造を正しく理解することが大切です。走幅跳には、「助走」「踏切」「空間動作」「着地」の 4 局面があることは皆さんご存じのとおりです。今回の練習会では、「踏切」「空間動作」「着地」については、基本的な動作の定着状況を確認しながら、理想的な動作を導く練習を紹介・実践しました。「すり足」「締め」「ふところ感」「7マーク」のキーワードを忘れないようにしながら、各動作の定着に努めてください。また、「助走」については、迷いのない助走を導くための基本的な考え方と作り方を紹介しました。今回の練習会では、冬季練習ということもあり、助走の実践練習は行いませんでしたが、他の3局面が概ね一連のつながりで表現できるようになっていることを前提に言えば、助走が最も記録を決める要素であることは言うまでもありません。この冬、スプリント力の向上から決して目を逸らさず、基礎体力の向上に努め、スピードに磨きをかけてください。全中標準(男子6m60、女子5m40)を目標に据えるなら、100mの記録を、男子は11秒6台、女子は12秒台まで引き上げたいところです。

結びに、「走幅跳において、あなたの個性は何ですか?」と問われたとき、どう答えますか。更には、「あなたにとって、走幅跳とは何ですか?」と問われたとき、どう答えますか。前者への回答としては、踏切の巧みさ、助走スピード、恵まれた体格、一本目の強さ、ファウルをしない調整力、など、答えは様々に考えられますね。では、後者への回答は? ぜひ、自分を、「走幅跳選手としての自分」「今日の練習や試合に臨む自分」「人生という文脈の中における今の自分」など、その時々に応じて俯瞰して捉え、自分の個性を理解し、自分を認め労り、自分の心と上手に向き合いながら、競技スポーツを楽しんでほしいと思います。

今回の練習会は、この練習会をそのとき限りの一過性のものにせず、選手の皆さんのこれからにつながるものにすることを念頭に入れて準備、指導させていただきました。大きく力を伸ばし、九州や全国の舞台で再会できることを楽しみにしています。そのときには、声をかけてくださいね。
【国立大学法人長崎大学教育学部附属中学校 陸上競技部顧問 溝上 元】

Posted by mzc