2014年度大宮中陸上競技部のキャプテンだったF君、元気にしているかな・・・。私は、生徒に彼の話をよくします。とても素直で人のために頑張る生徒でした。

放課後の練習時、私は練習中にF君の赤いラニングシューズの破れを見つけました。その裂けた部分を見て、彼に「新しいシューズを買ってもらわないといけないね」と声をかけました。数日後、その破れていた部分は、写真のように、小学校の家庭科の裁縫の授業で習った玉止めがはっきりわかる縫い方で、丁寧に縫われていました。「誰が縫ってくれた?」と聞くと、「自分で縫いました」と、キラキラした目で返答したのをはっきり覚えています。このランニングシューズに限らず、部のTシャツも自分で洗濯して、彼は大事に使っていました。

最近のランニングシューズは軽量化され、地面からの反発を得やすいように作られています。デザインも画期的な物ばかり。高価になり、購入するのにも親としては迷いが出るのではないでしょうか。一足数万円するシューズを、最近の中高生は普通に履くようになりました。履くことが悪いということではありません。しかし、中学生には中学生に見合ったシューズがあるのではないかと私は思います。F君は、縫った糸が切れたら、何度も縫い返しました。それだけ、愛着をもって使っていました。『我慢』『耐える』ことを十分に知っていた生徒です。

F君は、今どこで何をしているのかわかりませんが、きっと、何があっても我慢強く、人のために自分の力を尽くしていると思います。目の前の生徒も、私の娘も、Fくんみたいな人に育てたいです。

最後にF君へ
君のような、贅沢をせず、物を大事にする生徒を育てたいと思います。君の赤いランニングシューズから、物を大事にすることを学ばせていただきました。物を大事にすれば、周りの人にも優しくなることを、君の姿を見て感じました。君のような中学生を育てるために、赤いランニングシューズの話をこれからも子どもたちにしていこうと思います。体に気をつけて頑張れ。【姫城中:安在倫孝】