今年の大阪マラソンと東京マラソンの共通点は何だか分かりますよね?それは、レース序盤からペースメーカーを置き去りにする独走態勢が、終盤まで続いたことです。大阪マラソンの吉田響選手(サンベルクス)、東京マラソンの橋本龍一選手(プレス工業)による「攻めの走り」には、心底驚かされました。日本記録を大幅に更新する2時間3分台が出るのではないかと、私自身もワクワクしながらテレビに見入っていました。結果として、終盤に失速はしたものの、世界との差を埋めようと果敢に挑んだ姿は、多くの人に勇気を与えたはずです。
マラソンには「30kmの壁」という言葉があります。私自身も経験がありますが、30kmを過ぎると本当に体が動かなくなります。そのため、これまでは「前半は集団の中で体力を温存し、後半の失速を抑えること」がマラソンの常識とされてきました。事実、1999年に2時間6分57秒の日本記録を樹立した犬伏孝行選手(大塚製薬)から昨年12月に2時間4分55秒の日本記録を樹立した大迫傑選手(LI-NING)までに日本記録が8回更新されています。その中で、ネガティブスプリット(後半の方がラップタイムが速い)で日本記録を更新したのが5回。後半のペースダウンを最小限にとどめた選手、あるいは少しでもペースアップした選手が日本新記録を出すというのは、「マラソンの常識」に当てはまります。しかし、1999年には世界記録と日本記録の差は1分程度でしたが、今は4分もあります。従来の「常識」を守っているだけでは、この差は埋まりません。だからこそ、吉田選手や橋本選手のような走りが重要なのです。高い強度で押し切るレースを経験し続けることで、いずれハイペースのまま最後まで走り切れる体と精神が作られていきます。昔のように日本選手がマラソンで世界と戦える日がきてほしいですね。
このことは、宮崎県の中学生ランナーにも同じことが言えるのではないでしょうか。最近の県大会レベルの長距離レースでは、前半から一人で飛び出すような積極的な展開を久しく見ていません。
今年は全中での3000mが最後になります。ぜひ、宮崎県から参加標準記録突破する選手が複数出ることを期待しています。そのためにも、吉田選手や橋本選手のような「攻めの走り」が不可欠です。練習から「攻め」を意識することで、本番でも迷わず一歩踏み出せるようになります。世界を目指す一流ランナーに続き、皆さんも自分の限界を突破してください。応援しています!【椎葉中:溝口】