昨年度に引き続き、今年度も強化練習会の指導に携わらせていただき、光栄に思います。

さて、本練習会では、「助走」「踏切」「空間動作」について、理想的な動きを身につけるための練習方法を実践しながら紹介しました。まずは、「踏切」と「空間動作」について振り返ります。この2つの局面の動作を定着させるために念頭に入れておきたいキーワードとして、「すり足」「締め」「ふところ感」「7マーク」の4つのワードを確認しました。自分が持っている力量を最大限に生かした跳躍を実現するための鍵は、「スピードを失わない技術」の獲得にあります。改めてここに記載する、①「踏切に入る際の、ラスト1歩のすり足侵入」、②「踏み切る瞬間の締め動作」、③「跳びだし局面の7マーク姿勢」を十分に意識して、動作定着に努めてください。

次に、「助走」について振り返ります。今回、私が推奨する方法による助走に挑戦してもらいましたが、手ごたえはいかがだったでしょうか。助走は、「いつも同じ動きができる」「何度でも同じ動きができる」ことが大切です。つまり、雨が降ろうが、追風が強かろうが、向い風が吹こうが、逆転がかかった一本だろうが、どんな局面でも「迷いのない助走」を発揮するためには、精度の高い「自分の中の基準」を作っておくことが大切です。そのためのノウハウが、今回紹介した助走の作り方です。ぜひ参考にしていただきたいと思います。

結びに、「あなたにとって、走幅跳とは何ですか?」と問われたとき、どう答えますか。 一度、自分から、「走幅跳」を、または「陸上競技」を取り除いたら何が残るのかを考えてみてください。「走幅跳選手としての自分」はどんな人間なのか、「走幅跳を取り除いた自分」には何が残るのか、を考えることで、部活動に取り組む意味が見えてくることでしょう。また、競技スポーツには苦しみはつきものです。辛く悲しいときには、「人生という文脈の中における今の自分の経験が持つ意味」を考えましょう。どんな自分も認め労ることが大切です。自分の心と上手に向き合いながら、競技スポーツを楽しんでほしいと思います。

今回の練習会は、この練習会をそのとき限りの一過性のものにせず、選手の皆さんのこれからにつながるものにすることを念頭に入れて準備、指導させていただきました。皆さんが大きく力を伸ばし、九州や全国の舞台で再会できることを楽しみにしています。【長崎市立三重中:溝上】